[も-001]
モード
mode
 本来、大きな意味でのファッション・流行全体を指していたが、現在日本で使われる「モード系」とは「反コンサバ」「脱コンサバ」の攻撃的な意味が強い。近年の海外ブランドブーム・スーパーモデルブームで流行が一極集中してしまった。意識のベクトルは違っても、今や『JJ』『Olive』に登場するアイテムが、かぶっているのである。トッカのワンピース、ミュウミュウのサンダル……。インポートを扱う店が増え、世界中で同じモノが手に入るということ以上に、男が好む「かわいい女」より、女から好かれる「カッコいい女」を目指したほうが何とお得、という計算が働き、せめて表層だけでも「カッコよく」。かくして『ハーパーズバザー』読む人も『女性自身』読む人も、いや今や『たまごクラブ』『ひよこクラブ』読む人も、プラダ・ハンティングに精を出すのだ。メイクも「モードメイク」などと呼ばれ、細眉、顔色の悪い口紅、青いマニキュアなどが一般化した。すると『SPA!』「トゥナイト2」あたりで必ず「死人メイク」とかいう切り口で取り上げるものだから、日本では「モード」イコール「ちょっと過激」になっている。事実コンサバ色を残す女性誌は「モードをちょっと取り入れてみました」というおそるおそるの姿勢。なぜ、おそるおそるなのかといえば、モードは「モテない」から。男性の間では「モード系は苦手ですね」と、まるで昔の「刈り上げ」と同程度の認識である。しかし、とにかく今は女の子に好かれなければお話にならない。人気というものに切実な芸能人なども続々(適度に)モード色に。でないと女の子に好かれないわ、いま芸能人が一番載りたい雑誌『an an』に載れないわでいいことなしだもの。女性週刊誌の「バッシング」で仕事が減るくらいなのだから。結果、セクシーアイドルでさえ皆同じ格好、同じ髪型。まさに今やモードが「目的」になってしまった。ブランド、化粧品などアイテムだけを手掛かりに。「お勉強好き」の日本人には得意なはずだ。そこには従来の「モード」が持つ「お洒落」の部分だけがスッポリ抜けている。
WEB 


[も-002]
モノ・マガジン
mono magazine
 葉巻やパイプをくわえつつアウトドアでカジキマグロを釣ったりするような松方弘樹的消費生活を推奨している、男の遊艶地。読者の8割以上が男というだけあって、ジッポーや腕時計、フライトジャケットなど些末で高価な男好きのするモノに光を当て続けている。内部資料によると、「次代のライフスタイルを提案するモノ情報満載の、人とモノ、読者と企業を結ぶコミュニケーション・メディア・マガジン」とのことだが、そこに隠されているのは「男気」という代物なのだ。さらに雑誌のみならずモノ・ショップ経営を始め、通信販売業にも進出。深夜の通信販売番組にも社員がレギュラー出演中だ。テレビタレントもやりつつ副業で店舗経営とくれば、こちらは松方というより梅宮辰夫イズムであろう。
 なお創刊は82年5月。現在は月2回発行で公称部数は40万部という、名実ともにワールド・フォト・プレスの看板雑誌である。かつては徹底的に物についてマニアックに掘り下げていたが、類似誌が出てくるにつれてか路線を変更。読み物的要素を増していくことで情報も男気も薄味になり、誰でも気軽に手に取れるようになったのが特徴だろう。そのため別の意味でのマニアックさを出すためなのか、別冊の『フィギュア王』ともども近頃はオタク・アミーゴス(岡田斗司夫、唐沢俊一、みんだ☆なおの3人からなるオタク芸人)勢の占める割合が増大中なのである。
WEB JUST mono NEWS
http://www.justnet.or.jp/mononews/index.htm


[も-003]
森本晃司(1958)
もりもと・こうじ
 ケンイシイ『ジェリートゥーンズ』のプロモーションビデオを製作したことから一躍有名に。元々は多くのテレビアニメ作品の作画を担当し、その後劇場映画を中心に活動、『あしたのジョー2』『幻魔大戦』『レンズマン』『魔女の宅急便』などにも携わり、大友克洋監督作品『AKIRA』で作画監督を担当するほか、オムニバス映画『MEMORIES』の1作『彼女の想いで』では自ら監督もした実力派。本人自身もテクノマニアであることから「SHOP33」での販売されるオリジナルTシャツ製作や、MTVのイメージフィルムなどテクノ系音楽シーンに積極的に参加している。CGIを積極的に導入したデジタル映像作りの第一人者として認知されている人物。
WEB 


[も-004]
モンド/ラウンジ
mond/lounge
 モンド=世界。狭義にはモンド/ラウンジとは50年代アメリカの中産階級が目指したサバービア(都市郊外に一軒家と自家用車を持つ人々)のライフスタイルを志向するムーブメントのことで、その背景にはNASAの宇宙開発と南国楽園幻想が存在している。日本では80年代後半から一部の好事家の間で話題になっていたが、本国アメリカでも雑誌『RE-Search』の影響及び90年代半ばのグランジからラウンジへ先進的な若者の好みが移行したことで一気に過熱。50〜60年代の音楽、とくにマーティン・デニーやレス・バクスターらのエキゾチック系と、ディック・ハイマンやヒューゴ・モンテネグロらのムーグ系が二大巨頭を中心に、イームズ・チェアなどの家具からエド・ウッドのZ級映画までをも内包しつつ、96年ビースティ・ボーイズが編集する『グランドロイヤル・マガジン』第3号でムーグの特集を組む頃にはブームは最高潮に達した。「レトロ・フューチャー」や「スペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージック」といった魅力的な言葉は現在でも充分に通用するものであり、共感する若いアーティストの間でも新たな動きを見せている(米のバンド、コンバスティブル・エディソンや電気グルーヴの砂原良徳が代表例)。こうした願望はノスタルジーに近いものでもあるため、たとえ人類がパック旅行で月に行くようになり、南海の島の全てが人工リゾート化されようとも決して尽きることはなさそうだ。
WEB マニュアル・オブ・エラーズ
http://www.kt.rim.or.jp/~manuera/index.html


[も-005]
モンドル
もんどる
 モンド・アイドルの略。つまり、あらゆる非正統派アイドルの総称。単なる企画モノ系アイドルを超えた、奇をてらったコンセプト至上主義の行き過ぎで、どう考えてもメジャー化が至難の業と思えてしまうアイドルの方々。例を挙げるなら、世界初の完全カブリモノ系アイドル「怪獣少女G子ちゃん」や、『トイレット博士』CD-ROM発売を記念してのキャンペーン・アイドル「うんこちゃん」、米販売促進キャンペーンのための期間限定アイドル・グループ「おにぎりにぎり隊」(メンバーにMANISHの高橋美鈴が在籍)など。モンドルの起源は、80年代初頭に登場した宇宙人アイドル・トリオ「スターボー」と思われ、「アイドル冬の時代」と称された90年代になって続々と登場し、消えていった。ディープなアイドル・ファンが業界入りしたことで趣味に走った結果がモンドル増殖の一員と思われ、今後もどこかで細々と(笑)様々なモンドルが登場してくることだろう。
WEB 


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