[と-001]
20471120
とぅーおーふぉーせぶんわんわんとぅーおー
 92年「ベリッシマ」の名前で大阪で始まった、中川正博・LICAによる超ドメスティック・ブランド。トライヴェンティーの名前を経て現在の名前に(トゥーオーフォーセブンワンワントゥーオーと読む)。ウルトラマン・シリーズやキャラクター「HYOMA」などのセンスは、サザエボンにも匹敵する関西パワーが炸烈。東京の子の反応はどうかと思いきや、折からの「不思議ちゃん」の台頭や、キャラクターブームに代表される、やみくもなまでのチャイルディッシュなモノ人気により、なんなく受け入れられた。97年コレクションは浅草花やしきで行われた。服自体は多少シックになったものの、コントのようなヅラで個性健在。均一にならされた日本のお洒落の中にあって、専門学校生が代表の「お洋服好き」の最後の砦なのかも。東京は原宿にオンリーショップがある。
WEB 


[と-002]
TOKYO STYLE
とうきょうすたいる
 住む人の人物像が容易に伺い知ることができる「個性的」な部屋をよしとする新しい価値観。80年代に入り、家具や家電の色、デザインを統一し、生活感を著しく排除した部屋をもてはやす、丸井In The Room的アーバン・リビング指向の反動。バブル崩壊後、多様化と内的充実を尊重する時代になることで、かっこいい本箱よりも、そこにどんな本を収めるかということを重要視することになった。また自分の気に入った家具を自作したり、部屋に手を加えたりすることに熱心なDIY派や、粗大ごみの日に街を徘徊する若者、様々な物が安価で手に入るフリーマーケットに若者を増加させた。
 93年の都築響一の写真集『TOKYO STYLE』(京都書院)は、定期購読している雑誌、近所にはどんなコンビニがあるか、好きな音楽や映画、ゲームのハードは何を持っているか、普段吸っているタバコの銘柄、職業、恋人の有無など、そこに住む人の生活そのものを、くっきりと写し出すことでバブル以降の日本人のウェイ・オブ・ライフの指針となった。95年の写真集『魔窟ちゃん訪問』(アスペクト)で、伊藤ガビンが主にコンピュータ業界周辺の人々の自室(多くの部屋は古いパソコンが散在し、コード類が密林のように這い廻っている)を紹介。しかしながら不清潔な部屋はダニの発生や、いざという時に大事な物が見つからないという事態を引き起こすこともあるので時々は掃除した方がよいだろう、余計なお世話だが。
WEB 伊藤ガビン
http://www.parco-city.co.jp/gomes/gomes0397/meika03/meika_gabin.html


[と-003]
Tokyo No.1 Soul Set
とーきょーなんばーわんそうるせっと
 川辺ヒロシ(DJ)、渡辺俊美(G)、ビッケ(MC)の3人によるユニット。ジャパニーズ・クラブ・シーンが今日のような盛り上がりを見せる以前よりマイペースな活動を続けている。初期にはドラゴン(MC)が参加していた(現在は、いしだ壱成も在籍するThe Bigbandで活動中)。インディーズ・レーベルより12インチ・シングルやミニアルバムをリリースした後、95年に江戸屋レコードよりミニアルバム『ロマンティック伝説』でメジャー・デビュー。ターンテーブルにギターとMCというユニークな編成、ヒップ・ホップをベースにレゲエ、スカ、オールド・ロックやフォーク、ジャズetc.の要素を併せ持ったトラックにビッケの“言葉”が載ったサウンドは、唯一無二のオリジナル・スタイル。川辺はキミドリのクボタタケシとのユニットや数々のリミックスを手掛け、渡辺はアパレル会社の経営者という顔を持ち(タレントのちはると結婚)、ビッケはエッセイ集を出版するなど、ユニットとしてのスタンスも三人三様のキャラクターを活かしたオリジナル・スタイルだ。
WEB Tokyo No.1 Soul Set
http://soulset.eccosys.co.jp/


[と-004]
トゥナイト2
Tonight2
 テレ朝の誇るオヤジ向け深夜情報番組の老舗。いや、最後の牙城と言うべきか!?
 “色町の筑紫哲也”石川次郎。生涯一“ほとんどビョーキ”山本晋也カントク。そして、“ニッポン一の死人顔”乱一世のトライアングルの醸し出す、えもいわれぬ腐臭はどんなに新鮮な情報ソースもドドメ色にしてしまう強力なオーラを放っている。そして、そのオーラは未来永却光り輝き続けるかに思えた。が、しかし……。97年8月26日(火)、「トゥナイト2」の屋台骨を揺るがす忌まわしい事件は起こった。
 お調子者・乱一世がCM直前でポロリと言ってしまったアノ一言「2分後に凄いものを御覧に入れます。トイレに行かれるなら今のうちに……」。そして乱一世はトゥナイトを降板、その表舞台から姿を消した。もちろん、トイレタイム扱いにされたCMスポンサーの厳重抗議が原因だ。ちなみにCM明けに放送されたのは「風俗嬢の裏技紹介」だったとか。合掌――。
WEB 


[と-005]
常盤響(1966年生)
ときわ・ひびき
 常盤響を正確に紹介することは容易ではない。デザイナー、イラストレーター、DJ、モンドミュージック評論家、新人カメラマン、G党、肩書きを並べるとキリがない。しかし、だからといって彼のことをマルチな人という言葉で片づけてもらっては困るのである。電気グルーヴやエルマロのアートワークを手がけ、砂原良徳とは共にCD制作や音楽を超えた面でも創作を続ける。また、その他にも個人でテイ・トウワのアルバムのマスターミックスをするなど、ミュージシャンとしての側面も持ちつつ、自身がプロデュースするショップAnimal of Airsでは服飾デザインにも手を染めるといった、好かんたらしい男である。
 この仕事群を見て、彼を“渋谷系”と称する人もいるが、その渋谷系と呼ばれるモノが持つイメージにある、生命力の脆弱さは常盤響の中にはない。それは、彼が「性」を表現できるクリエーターであるからだ。モリタダシいわく“エロ渋谷系のプリンス”。それが常盤響である。一見、スタイリッシュな作風であっても、その端々には性の臭いがたちこめているという、誰も表現できなかったシャレとエロの融合に成功した男である。彼の持つエロスとプリティがこれからのアートにとって、どれだけ重要であるかということは、ボクが言うまでもなく、世間のキンタマとビラビラが肌で感じていることだろう。
WEB mars art lab.
http://shrine.cyber.ad.jp/~tokiwa/index.html


[と-006]
匿名メール
とくめいめーる
 電子メールには必ずヘッダというものがついていて、そのメールが誰から発信され、どこを通ってきたのかがすぐにわかるようになっている。アドレスというのは名前でもあり、住所でもあるので、インターネットは基本的に記名の世界なのだ。しかし、様々な理由で、匿名のまま電子メールを利用したいケースもある。例えば自分の会社が行っている犯罪的行為を内部告発する場合などがそうだ。そんな時のために用意されているのがアノニマス・リメーラーを使った匿名メールサービスである。
 アノニマス・リメーラーとは世界中にいくつもあるメールの転送サービス。ここでは受け取ったメールのヘッダを削除して、どこの誰から来たものかわからないように加工し、送り先へ転送してくれる。複数のリメーラーを経由させるチェーンニングと呼ばれるテクニックを使えば、匿名性はさらに向上する。受け取った人間がわかるのは、このメールは匿名メールサービスを経由して自分に届いたということだけだ。もともとこのリメーラー・サービスは、政治的な発言や宗教的な発言をする人々の身の安全を図るために、ボランティアによって運営されているところがほとんどだ。決して他人にいやがらせをする目的などで使ってはならない。連続して嫌がらせや脅かしのメールが届く場合は、リメーラーに連絡すれば転送を止めてもらうこともできる。また、いくら匿名メールと言っても、あまりにも犯罪的なものはリメーラーの運営者が判断すれば送り主を特定することが可能だということをお忘れなく。
WEB 


[と-007]
トマト
tomato
 何をやっても「カッコイイ」と評価されてしまうロンドンのクリエイター・ユニット。91年設立。どういうわけかトマトが嫌いだと言う人にはなかなか会うことができない。97年現在ではスティーブ・ベイカー、マイケル・ホーシャム、カール・ハイド、ジェイソン・ケッジリー、リック・スミス、サイモン・テーラー、ダーク・ヴァン・ドゥーレン、ジョン・ワーウィッカー、グラハム・ウッドの9名がメンバーになっている。それぞれが映像や、音楽、グラフィックなど多岐にわたる分野で活躍しており、トマトというユニットそのものがトマトの作品であり、トマトの存在そのものがプロジェクトでもある。
 彼等をもっとも有名にしたのが、テクノバンドのアンダーワールド(カール・ハイド自身メンバーでもある)のジャケットデザインやプロモーションビデオ。トマト風のタイポグラフィを中心にしたグラフィックや映像は、それ以降いろいろなところで見ることができるが、やはり彼等にはかなわない。最近では『トレインスポッティング』のオープニングタイトルや、彼等の先品集の『PROCESS』が様々なメディアで紹介され、話題にもなった。彼等のスタイルは常に変化しており、これからどこへ向かうのかしばらくは目を離せない。
WEB The Underworld Interview
http://www.rise.co.uk/dc/Underworld/under.html


[と-008]
ドラァグクィーン
drag queen
 女のカリカチュアであり、ゲイの伝統芸能の一つ。もしくはナイトクラブの豪華な動くインテリア。もともとはドレスの裾をズルズルと引きずる(=drag)ような大袈裟ないでたちで女装するオカマ(=queen)のこと。今日的な意味あいでは、ドラァグクィーン(以下、DQ)が引きずっているのはドレスの裾だけではなく、男(らしさ)/女(らしさ)といった性(役割)の境界線である。「男は女を愛し、女は男を愛することこそが正しい」とする世の中にあって、「男を愛する男らしくない男」のゲイは、男の失格者であり女の出来損ないだ。そんな何事も「男/女」といった二分法でしか捉えられない窮屈な世の中を皮肉るために、DQはあえて「男を愛することができる者、つまり女」の姿を演じているのである。それこそ裾を引きずるほどの大仰なドレスや巨大なカツラ、極端なまでのメイクアップ……女らしさを強調すればするほどDQは本物の女からはほど遠くなっていく。そして、その化け物じみた姿で高らかに嘲るのだ。「オ〜ホッホッ。アタシたちってば、こんなに女らしいでしょっ!!」と。
 しかし、DQは決して女になろうとするものではない。トランスヴェスタイト(=異性装者)が女の格好をして、その間だけでも本物の女になった気分を味わうのに対して、DQの女装は女の格好をしながら自分が「女の格好をすることのできる者、つまり男」であることを確認する作業である。また、ニューハーフやシーメールといった女になりたいと考えているトランスセクシャルの人々の女装が本物の女のコピーにしかなり得ないのに対して、DQはその女らしさの表現において本物の女を凌ぐ美しさや豪華さ、時には醜さ、迫力、すさまじさを体現しうる。言ってみれば、前者はリアリズム追求であり、DQのそれは抽象芸術なのだ。日本の代表的なDQには、マーガレット、ホッシー、クリスティーヌ・ダイコ、オナン・スペルマーメイドらがいる。また、麻薬・ドラッグ(=drug)と混同されがちなので、日本語では「ドラァグ」と表記することを提唱している。
WEB sapporo.html/www.wax.or.jp
http://www.wax.or.jp/upper-camp/sapporo/sapporo.html


[と-009]
ドラゴンクエスト
dragon quest
 日本のテレビゲーム市場にRPGブームを巻き起こした原点となるRPGソフト。80年代前半に米国で流行ったPC用RPGソフト『ウィザードリー』と『ウルティマ』をベースに、和製RPGソフトの原型を産み出した。初期の開発スタッフは当時少年ジャンプでライターをしていたRPGマニアの堀井雄二と天才プログラマーの中村光一を中核に、キャラクターデザインには『Dr.スランプ・アラレちゃん』や『ドラゴンボール』で知られる人気マンガ家・鳥山明を配し、音楽はすぎやまこういちが担当。その豪華な顔ぶれからも開発当初から業界の注目を集め、86年にファミコン版ソフトとして発売されるや社会現象ともいえるRPGブームを巻き起こした。現在に至るまでシリーズ6作が発売されているが、いまだその人気は衰える気配がない。なかでもシナリオを一人で担当する堀井雄二は、現在も日本のRPGをリードする第一人者であり続けている。『DQ』は、こうしたRPGブームを引き起こす中で多くのフォロアーを産みだしたが、その中にはスクウェアが開発した『ファイナルファンタジー(以下、FF)』シリーズも含まれている。現在『DQ』と『FF』は人気を二分しているが、この2大RPGソフトが、日本を他に類を見ないRPG大国に育て上げたといっていい。97年にはスクウェアの後追うように開発元であるエニックスが任天堂からソニー/PSへの移籍を表明。シリーズ7作目となる『DQZ』は、98年中にPS版として発売される予定で現在も開発が進められている。今世紀末にもっとも注目されるゲームソフトの一つである。
WEB ENIX NEWS
http://www2.marinet.or.jp/~enix/news/index.html


[と-010]
ドラゴンヘッド
Dragonhead
 マンガ家も驚嘆する描写の天才・望月峯太郎(1964年横浜生まれ)が、あたかも作品に魂を吸い取られるかのように講談社『ヤングマガジン』に隔週連載中(休載多し)の、鬼気迫る世紀末ストーリー。阪神大震災や、北海道の岩盤崩落事故を先取りした部分も話題になった。94年連載開始。97年の講談社漫画賞受賞作。
 修学旅行の新幹線がトンネル自己に遭遇、乗客はほぼ全員死亡。生き残ったテル、アコたちは不安と恐怖に苛まれながらも暗闇を抜け出したが、地上には荒涼とした廃虚が広がっていた。「自宅に帰るまでが旅行だ」という学校の先生の得意な発言に倣えば、主人公たちが自衛隊所属の若者やたくましい「おばさん」の手を借りつつ必死に帰宅を試みているこの作品は、まさしく「修学旅行マンガ」であり、このジャンルの傑作となると思われる(もちろん、そこに戻るべき「家」が存在しているかはわからない)。90年代型の『漂流教室』(楳図かずお)と呼んで差し支えあるまい。
 既刊単行本5巻(97年10月現在)のうち、約半分がトンネル内を描いている。ここまで長くなったのは、主人公たちが地上に出てからもこの異常なまでの描写のクオリティを維持することにアシスタントが恐れをなして逃亡したからだ、という噂も囁かれているほど。タイトルページを設けず、タイトル・作者名の入れ方を毎回違った形で見せたり(古くは石ノ森章太郎が試みた)、文字の字間を詰めて吹き出し一杯まで大きく写植を入れてはちきれそうな緊張感を高めたりする工夫には、マンガにおける編集者の役割を考えさせられる。
 他の望月の作品には、『バタアシ金魚』(初連載作)、その続編『お茶の間』、『バイクメ〜ン』『座敷女』『鮫肌男と桃尻女』(連載時タイトル『大車輪』)がある。単行本は全て講談社から。近刊予定に『COLOR』。
WEB manga mochiduki /kodansha
http://www.kodansha.co.jp/manga_mochiduki_kdnsha.html


[と-011]
ドラッグ
drug
 これまで日本では、欧米のように大麻やLSDが社会的に広まったことがなかったが、90年代に入ってから状況は大きく変わりはじめた。それには海外旅行やインターネット、出版物などの普及の結果、世界的な情報にアクセスができるようになり、それまでのドラッグ情報鎖国から脱しはじめたことが背景にあるようだ。さらに90年代の世界的なレイヴ・シーンの広がりが波及していることも影響している。
 大麻のようなソフト・ドラッグについて、欧米では一般化していることだが、喧伝されているような危険性がないという知識が広まってきた。それには海外旅行でマリファナを体験したという人が増えていることも大きい。実際に体験してみて、報道されているような怖ろしい麻薬などではなく、むしろ心を開き、癒しのリラックス効果に好意を持つようになる人がかなりいるようだ。オランダではマリファナの個人的使用については既に合法化されているが、EU圏でも国により違いはありつつも、基本的にはマリファナについて寛容になっている。医学的な健康に与える影響から社会的な治安問題まで検討した結果、個人の自由として容認する道を選んだわけである。またアメリカやカナダでは、マリファナの医薬としての有用性が注目を集めている。マリファナ(大麻)という植物をエコロジカルで経済的な資源として、紙、布、燃料オイル、食料として用いる動きもある。
 こういったマリファナをめぐる世界的な状況は、60〜70年代のカウンター・カルチャーの時代のとらえ方と、大きく様変わりしているが、90年代に入ってから日本でも同じような動きが起きている。マリファナ事件で逮捕された被告が大麻取締法自体の不等性を裁判で争い、大麻合法化を主張するなどの運動も起きている。他方、マリファナの普及という面では、北海道の野生大麻を伐採したり、在日外国人による密売などが一時期話題になったが、それらは現在では少なくなってきて、むしろ室内自家栽培が広がりつつある。これもオランダの情報によるところが大きい。
 レイヴ・シーンは、日本に初めてサイケデリック・カルチャーを生み出したといえる。LSDの普及はかつてないほどに広がっているが、それほど社会問題化していないのは、レクリエーショナル・ユースのため含有量が少なくなっているのと、ユーザーの間で安全な用い方の知識が確立しているためと思われる。そのほか新たなケミカル・ドラッグが次々に登場しているのも、欧米と同時代的状況である。それには、よく知られているMDMA(エクスタシー)の他に2CB、GHB、DMTなどがある。さらに、幻覚誘発性成分を含有したキノコや主に南米の植物(ハーブ)を試すユーザーが増えている。90年代中頃、合法ドラッグという呼び方でハーブを組み合わせたドラッグが流行したが、実際の効果はあまりなかった。それに代わり、本当にサイケデリック的効果を持ちながらリーガルなハーブはないかと、一部の自然志向のユーザーたちは求めていた。また、イリーガル・ドラッグではないが、スマート・ドラッグといわれるような、知的能力増強薬を試すユーザーも増えている。
WEB 


[と-012]
ドラムンベース
drumn'bass
 イギリスで始まったジャングルが発展した形のダンス・ミュージック。ジャングルの始まりは90年代初めのロンドンで、UKレゲエやラガのブレイク・ビーツが基になっている。そこにテクノ的な要素やレゲエのサウンドシステム的な要素が取り込まれて、ジャングルと呼ばれるBPMの早いダンス・ミュージックが生まれた。ニューヨークがヒップホップを生み出したように、ジャングルはその始まりにおいてはロンドンに住む黒人のマイノリティのアイデンティティと強く結びついた音楽で、DJのかける曲に合わせて挑発的なMCが入ったりするのがジャングルのパーティーのスタイルの一つでもあった。ドラムンベースはそこに様々な音楽的な要素を取り込みながら進化したもので、ジャズっぽいものからノイズ、トランス、アンビエント的なものまで、かなりの幅を持ったジャンルになりつつある。スクエア・プッシャーやゴールディーは日本でもかなりメジャーな存在。ナイン・インチ・ネイルズのようなロックバンドがドラムンベースのダンス・ミックスを発売してもいる。
WEB ドラムンベース
http://www.yahoo.com/Entertainment/Music/Genres/Electronica/Styles/Jungle/


[と-013]
ドリアン助川の正義のラジオジャンバルジャン
どりあんすけがわのせいぎのらじおじゃんばるじゃん
 「叫ぶ詩人の会」を主宰するドリアン助川がパーソナリティを務めるラジオ番組。ニッポン放送にて土曜23時30分という深い時間帯のオンエアながら、10代を中心に毎週2万件を超す電話相談が寄せられ、ドリアン自らガチンコでリスナーと悩みを共有するという、一種古典的ともいえるスタイルがウケている。相談内容は、オナニーや両親の離婚といった思春期にありがちなものから、イジメや自殺といった今まさに学校内で起きている諸問題まで幅広い――ここまで読んでもうヘドが出そうになっている輩も多いだろう。「ゲッ、また尾崎症候群かよ」「そんなに暗いガキの教祖になりたいの?」テレビ朝日『金髪先生』での教師口調のトークを思い出した人もいるハズだ。そんなアナタに言っておく。ドリアン助川は確信犯だ。先が見えない時代、最後に人間がすがるのは「正論」である。意識的なマーケティングの末、ドリアンは金鉱を掘り当てた。98年ブレイク必至の要注意人物である。
WEB ~sakebu
http://www.rasputin.co.jp/~sakebu/


[と-014]
トリップ・ホップ/ダブ/ブリストル
trip hop/dub/bristol
 ヒップ・ホップをベースにテクノとダブの要素を持ったサウンド。「トリップ・ホップ」なる言葉を初めて耳にしたのは94年頃か? 当時台頭してきていたアブストラクト・ヒップ・ホップとの差別化は曖昧な部分があったように記憶している。マッシヴ・アタックのセカンド・アルバムと前後する形で登場した、ポーティスヘッド、トリッキーらのブリストル勢のサウンドをこう呼ぶ人もいるようだ。古くはニューウェーブ・バンド、ポップ・グループで知られるダブの街・ブリストルは、これまでに多くのアーティストを輩出している。マッシヴ・アタックの前身Wild Bunchには、後にソウルuタソウルに加入しビョークなどを手掛けることとなるプロデューサー、ネリー・フーパーが在籍しており、マッシヴのファースト・アルバムにはトリッキーが参加していた。現在もスミス&マイティによるMore Rockers、ロニ・サイズやDJクラストらドープなジャングリストや、ムーンフラワーズ、フライング・ソーサー・アタックといったロック系ユニットなど数多くを送り出している。ジャマイカ移民の多いイギリスでダブやレゲエが浸透していくのは難しいことではなかったが、これらの音楽がイギリスのシーンに与えた影響は計り知れないものがある。エフェクトによって作られる全てを包み込むかのような音響空間、メランコリックなダウンビートは今後も重要な役割を果たしてゆくことだろう。
WEB FUISION MUSIC
http://www.sme.co.jp/Music/International/flying/fm/index.html
WEB Mo'Wax
http://www.cyber.ad.jp/~Summersault/japansite/mowax/mowax.html


[と-015]
ザ・ドリフターズ
drifters、the
 日本お笑い界のザ・ローリングストーンズ。クレイジーキャッツが、優等生のザ・ビートルズだとしたら、世の母親どものマユをひそめさせ、「ウンコチンチン!」なんてミもフタもないギャグを日本全国に蔓延させたドリフはまさしく、不良のストーンズだ。
 知りあいの作家に聞いたのだが、その昔、「8時だヨ!全員集合」の全盛期。何十人ものスタッフが連日連夜会議漬け。議題はひとつ、今週のコントのネタ決めだ。すべての決定権は、いかりやにある。「忍者か?」「囚人か?」、いかりやの一言をジッと息を飲んで何十時間も待つスタッフ達。そのうち、いかりやは居眠りを始める。しかし、起こすことはできない。なぜならいかりやはドリフの絶対君主だからだ。ガクッ。イスからズリ落ちようやく目醒めたいかりやの口から一言。「学校いこ〜」、スタッフ全員が一勢に動き出す。そう、今週のネタは「ドリフの国語算数理科社会」だ――。
 この前、「ドリフ大爆笑」を見ていたら、今年で66歳になるいかりやをドリフ全員が、サラリーマンの慰安旅行コントで布団むしにしていた。そこには確かに今だに「サティスファクション」をやり続けるストーンズと同じ輝きがあった。我々は、ドリフターズとともに21世紀を迎えることになるだろう。
WEB THE DRIFTERS(ザドリフターズ)
http://www.ggf.ilc.or.jp/user0/habuchi/dorifu.html
WEB おまぬ県
http://www2n.meshnet.or.jp/~dksonic/omanuke.html


[と-016]
ドリフト族
どりふとぞく
 FR(後輪駆動)車にて、オーバースピードでコーナーに突入すると後輪が滑り出すが、そのときにカウンター・ステア(通称、逆ハン〜曲がろうとする方向と逆にハンドルを切る)でコーナーを駆け抜けるテクニックがドリフト。キマると、マシンは豪快にスライドし、ギャラリーにはとてつもない芸当に見える。主に日本の峠などの中低速ワインディングでは比較的ドリ・テクを繰り出しやすいため、積極的に楽しもうとするパパさんドライバーも多いが、とりわけここでいうドリフト族とは、チームを組み、サーキット走行を含め、ドリフトのためだけに技量向上と車体改造に多大な出費と情熱を捧げるドライバーたちのことを指す。
 現在、生産される車の多くがFF(前輪駆動車)のため、ドリフトに適したFR車は中古市場でも高値を維持することが多い。またスポーティーに振り回せる限界が車幅1699ミリ以下の5ナンバー車であり、それに加えてヒール・アンド・トゥなどのテクニックを駆使できるマニュアル車が、ドリフト文化を支えている。ポストRVブームを模索するメーカー側も、今後マニュアル・ミッションを主眼としたFR車を新規開発するなど、ドリフト文化からのフィード・バックも見受けられる。そう、ドリフト族は隠れたトレンド・セッターなのだ。
 車種も年式によって、車体特性が変わるため、車体番号で呼称するのが慣習である。絶版車だが、いまだに人気の高いAE86レビン(トヨタ)、R32スカイライン、S15シルビア(日産)、FD3S RX-7(マツダ)などが定番である。ドリフトをしやすくするために前輪タイヤのキャンバー角を寝かせてハの字型にまでした「鬼キャン」仕様など、独特の文化体系をもつ。ドリフト族の頂点に君臨するのが、ドリキンこと、“ドリフト・キング”土屋圭市(レーサー)。ちなみに現在は車の性能進化が著しく、ドリフトを繰り出すのは非効率的であり、タイムが落ちるというのが定説。しかしドリフト族は気にしない。求めるは一瞬のカタルシスだ。その姿は求道的ですらある。ストリート(しかも峠)でしか棲息を許されぬが、無視できない四輪文化の担い手たちである。
WEB 


[と-017]
ドリンク剤
どりんくざい
 身体のために飲む飲料。その歴史を見ると、身体に何が求められたがわかる。「アリナミン」「リポビタンD」「オロナミンC」「アスパラ」などは、高度経済成長を支えたドリンク。疲労回復が求められた。79年から80年頃にかけて、「アルギンZ」「スポルティーボ」「リガッツ」などが発売され、またアルカリ性飲料「ポカリ・スウェット」も登場。レジャー・スポーツやアスレチックの流行に対応している。88、89年頃には、「ファイブ・ミニ」「鉄骨飲料」などの機能性飲料が数多く登場し、ドリンク剤のシェアは一気に女性に広まった。“二十四時間戦えますか”という「リゲイン」のCMが話題になっていたバブル全盛期のこと。女性たちも疲れていたのだ。最近では、ドリンク剤ではない一般的な飲料にも、健康補助的な栄養添加をうたったものが多くなった。また、「元気を出す」と同じくらい「きれいになる」という要素が強く打ち出されるようになった。
WEB 


[と-018]
トレーディングカード
trading card
 スポーツカードなどに代表されるコレクションを目的としたカードの総称。アメリカではNBAや大リーグ、NFL、NHLといったスポーツカード以外にも、映画やアニメなどのキャラクターカードなど、古くから文化として認知されている。日本でカードといえば、カルビーの『仮面ライダー・スナック・カード』が有名だが、いわゆるスポーツカードとしては、プロ野球、プロレス、競馬といったものが発売され人気を呼んでいる。数パックに1枚しか入っていない特殊印刷を施したインサートカードなどバクチ性も高く、コレクションものとしてはフィギュア以上に燃える指数は高い。これがさらなる盛り上がりを見せたのがバンダイとセガが共同で発売した『カードダスマスターズ 新世紀エヴァンゲリオン』で、8パックに1枚封入された計4種のインサートカードと、抽選でもらえる非売品のカードをめぐり熱い攻防戦が繰り広げられた(以降、数シリーズ発売)。エヴァの成功を受け、日本でもキャラもののカードも多数発売された。また、エヴァ以上にファンの熱狂指数の高い『宝塚カード』は、400種弱という膨大な枚数、インサートカードのレア度の高さと、相当にまずいことになっている。
WEB 


[と-019]
トレーディングカードゲーム
trading card game
 トレーディングカードを使用するカードゲーム。カード自体のコレクションに加え、ゲームも楽しめるとあって、世界規模でファンが多い。この代表的なものが93年にアメリカで発売された『Magic The Gathering』だ。これはシリーズを重ね、その種類は1000種を越える。カードにはそれぞれ、コモン・アンコモン・レアというランク付けがあり、15枚入りパックにはそれぞれ、11:3:1の割合で封入されている。レアカードは手に入りにくい上、ゲーム上では強力な威力を発揮する。コンプリートをしなくても、ゲーム自体はプレイ可能だが、そうも言ってられないのがマニアの世界。レアカード目当てにパックを買い続けると、割合的にコモンカードが捨てるほどダブついてしまう点が泣けて仕方がない。コモンカードは周りのコレクターも当然のようにダブつきぎみになるため、まったくトレードの対象にならないのだ。通常のトレーディングカードはインサートカード以外は基本的にカードの割合が同じのため、このような泣きはカードゲーム特有のものといえるだろう。また、初版とそれ以降の版ではカードのワクの色が異なるなど、多くのヴァージョン違いが存在。いわゆる紙ものでも、相当危険な部類(金銭的、精神的)と言えるため、コンプリート癖のある方はヘタに手を出さないほうが無難だろう。同様に『スター・ウォーズ コレクション・カードゲーム』や『ポケットモンスター・カードゲーム』などが高い人気を集めているが、これらも『Magic〜』ほどとはいかないまでも、コンプリートコレクションには相当な覚悟が必要だ。
WEB The Game Gallery
http://www2b.meshnet.or.jp/~game/


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