[ら-001]
ラー
らー
 実在するキャラクターの典型的なファッションをするフォロワーを、目標のキャラからなぞった呼称。90年代中盤に全身シャネルのブランド服やアクセサリーで固めて街を歩く人を「シャネラー」と呼んだことから、その後誰かのフォロワーは語尾に「ラー」をつけたネーミングでくくられるようになった(グッチ信奉者はグッチャー、プラダ愛好家はプラダーとも)。
 茶髪・日焼け顔(ガングロ)の安室奈美恵のフォロワーは「アムラー」、なごみ系庶民派ファッションの飯島直子のフォロワーは「ナオラー」、バカともとれる可愛らしさで成り上がった天然系ブリッコ・華原朋美のフォロワーは「カハラー」などと呼ばれるようになった。そうした状況をふまえて、96年に登場したテクノアイドル・篠原ともえは、確信犯的に自らのファッションを「シノラー」と自称し、フォロワーを出現させた(髪はお団子二つ、手首に原色のチープな飾り、肩の吊りを腰の下に垂らし、目許にシールを貼る)。同年、70年代ファッションを源流とする女性デュオPUFFYの登場で「パフィラー」も登場。TシャツにGパンというナチュラルかつカジュアルなスタイルながら、メイクやヘアスタイルに上級テクが見られ、女性が好きな女性の増加もあいまってPUFFY自身の人気も一気に全国に広がった。他に、歌舞伎役者・松本幸四郎を父に持つお嬢様系女優・松たか子のフォロワーは「マツラー」、小学館の学年誌『小学五年生』などでファッション・ページの人気モデルになった野村佑香のフォロワーである小中学生の少女たちは「ノムラー」と呼ばれた。また、有名なうさぎのイラスト・キティちゃんの関連グッズの人気が再燃したことから、コレクターは「キティラー」と呼ばれるようになった。「○○ラー」という語尾以外にも、子育てゲームの「たまごっち」の大ヒットから「○○っち」という語尾も愛用されるようになった。
WEB 


[ら-002]
ラチリ系
らちりけい
 クルマで女性をナンパし、徒歩では帰れない場所に監禁してセックスを強要したり、イジメたりする男たち。主に遊びなれたコギャルとナンパ男たちの間で流通する用語で、「ラチ(拉致)る」という動詞もある。「あいつ、ラチろうぜ!」「あのコ、ラチリたいくらいチョーカワイイ」などと使われる。ラチリ系は、たいてい2人組のヒマそうな女性に車の窓から声をかけて、山奥や廃屋もしくは近くても人に気づかれないマンションの一室などに連れていった挙句、(たいていたどり着く先にはすでに男たちが待っていて)「ここで俺たちと寝るか、外に捨てられるか」と選択を迫り、結果、集団レイプを行う。そこで女性が上手く逃げるには「私、病気持ち(性病)だけどいい?」と即座に返事することだとコギャルの間で言われている。女子高生コンクリート詰め殺人事件で少年グループによる犯罪の残酷さが浮き彫りにされたが、殺人こそしないにせよ、今日でもナンパという遊びの現場では「拉致」「監禁」という犯罪タームが半ば冗談のようにカジュアルに使用されている現実は、遊んでいる女子高生=援助交際の面ばかり報道しがちなマスメディアでは、いまだ真剣に語られていない。
WEB 


[ら-003]
ラップ
rap
 70年代後半にニューヨークで生まれた、ヒップ・ホップ・カルチャーの中の主要技芸の一つで、リズムに乗せて早口で自らの主張をまくしたてる話芸。日本では82年の映画『ワイルド・スタイル』の上映と、ほぼ同時期に行われたDJとラッパーをニューヨークから招いてのクラブ・ショーがマスメディアの一部で話題となり、好事家と先取り気質とやる気のともなった米国黒人音楽好きたちによって、スクラッチDJとともに“黒人音楽の新種”として少なからず知られるようになった。日本でのオリジナルなラップが音楽として続々と発表されるようになったのは86年のランDMCとフーディニの来日以後のこと。日本語と英語(ヒップ・ホップ系流行フレーズ)を取りまぜて、いかに本場風の臭いを翻案するかに精力を傾けてきた借用系と、とりあえずいいたいことを自己流の(本場に影響されているものの、機材やセンスの関係で独自性を獲得してしまった)リズム・トラックに乗せてもがいてきた創作系とに、日本のラップは大別される。いわゆる“だよね〜”以後のJラップという陳腐な呼称にあてはめても無理がない(と感じる者を多数存在させうる)ラップ作品は、この両者の中間に位置している。とはいえ、日本のヒップ・ホップ/ラップを探求している者(している気になっている者も含む)の多くは、本場の物に引けをとらないことを密かに自負している。実際バック・トラックは確かに引けを取らないものが多い。
 それにしてはそれに乗っている(はずの)ラップの“言葉”は、かつてのツッパリ系ロックンロールと大差ない自慢と虚勢中心のものが未だに少なくない。「俺たちはヤバイんだぜコワイんだぜスゲエだろう」というコケオドシには事欠かないが、どこがどうヤバくて凄いのかまるでわからない者たちが10年後にもラップをやっているとはとても思えない。気骨とは作品内におのずと貫かれているものだ。たとえばECDの如きラッパーは、大言壮語など皆無で、確固と伝え続けている。
WEB 


[ら-004]
ラヴピースクラブ
love piece club
 東京・半蔵門に96年にオープンした女性向けアダルトショップ。男性の視点ではなく、女性自身の判断による気持ちよさを目指している点が新しい。膣を締め上げる訓練をするためのヴァギナ専用バーベルを直輸入したり、肌に塗ると乾いてラバーになる「BODY LATEX」を扱うなど、女性店長を起用する他の店とは趣の異なる品揃えになっている。代表はジェンダー解放研究者の北原みのり。北原は同年11月にアメリカに飛び、ニューヨーク在住のフェミニスト、ベティドソン女史(70年代に女性のマスターベーションに対する意識向上に活躍。すでに60代)に取材し、セクシャリティを表現するアートを通じてジェンダー・フリーを訴える方法論を語り合った。同月、恵比寿のクラブ「みるく」でパーティーを開いて400人以上を動員。そこでは世界で唯一人の女性ドラァグ・クィーン、エミ・エレオノーラや、アートとエロの波打ち際をなくすオランダからのアートグループ、Artporn、そして同店で実際に販売されるセクシャル・アートの公募展覧コーナーには相互肛門性交が可能な「アナルコミュニケーター」がエントリーされるなど、従来のフェミニズムには考えられなかったしなやかな発想で啓蒙が試みられた。さらに北原は『男でもなく 女でもなく』の著者・蔦森樹などをゲストに招いて、10名限定で行われる「セクシャルトークナイト」の内容も、自ら立ち上げたオンラインマガジンにインタビュー形式でアップデートしている。97年に入ってからはセクシャリティに関係なく全裸で時を過ごすパーティーを行うメンバー「ゼンラーズ」の公募を始めた。これは裸体を楽しむ方法をセックスから解放する試みだとして写真評論家・飯沢耕太郎がマニフェストしている。
WEB ‥Welcome to LOVE PIECE CLUB‥
http://www.ummit.co.jp/~love/


[ら-005]
ラムタラ
lummetarra
 「神の脚」と呼ばれた史上最高の種牡馬。95年、わずかデビュー2戦目で英ダービーを制し、欧州最強馬決定戦、KジョージY世&QエリザベスDSに勝った時、騎乗した騎手は「この馬はライオンだ!」と言ったという。無敗のまま引退し、96年から英国で種牡馬となる。97年史上最高額の44億2800万円のシンジゲートが組まれて日本に輸入され、2月から7月の5カ月間で112頭と交配した。買い手は競馬界で博報堂的ポジションに甘んじているJS。今後の産駒の活躍如何では、電通以上にダントツのシェア1位である社台グループの屋台骨を揺るがす可能性は少なくない。ちなみに日本で種付けした産駒がデビューするのは2000年になる。
WEB 


[ら-006]
ラルフ・ローレン
ralph lauren
 アメリカのコンサバティブ・ファッションのデザイナー。およびそのブランド。「ポロ」というブランドでも知られる。もともとは、ボンタンや短ランといったファッションを拒絶した当時のオシャレな中高校生が、制服の着崩しにいちばん近いブランドとして注目。80年代後半には渋カジ少年御用達のブランドとして一世を風靡した。その後、円安から海外旅行に大挙押し寄せる日本人のデューティーフリー・ショップの定番おみやげになってから人気を落とし始め、94年頃には「RRL(ダブルアールエル)」というヴィンテージ・テイストを取り入れたブランドを発表し、再び盛り返す。日本にもライセンス商品があるが、なぜかインポートショップでの平行輸入ものの方が人気が高い。
WEB Ralph Lauren
http://www.ralphlaurenfragrance.com/corporate/index.html


[ら-007]
乱一世
らん・いっせい
 タレント。「トゥナイト2」(テレビ朝日)で見せた、ストリートから風俗まで「なんでも見てやろう」というレポーター精神は感動的ですらあった。この乱一世という戦国武将のごとき、力強い芸名を分析すると、本名である石瀬泰久を“泰久”を反対の意である“乱”に、“石瀬”を似た音を持つ“一世”に置き換えたことがわかる。ナレーターでも活躍する乱だが、元はラジオのDJとして、ヤングのハートをグッとつかんでいた輝かしい経歴を経て、「一世ケリーの流行レーダー」(フジテレビ)で、謎の黒人女性ケリーとともに、CCBチックなフレームのメガネで颯爽と登場。TVウォッチャーたちの度肝を抜き、その後の「トゥナイト」出演で、“トレンドウォッチャー”それも“現場派”の地位を揺るぎないものとした。スタジオでは若手女性レポーターへの厳しい助言を与えるクールな一面や、ボクシングで鍛えられたマッチョな肉体とのアンバランス、同じ大橋巨泉事務所の小倉智昭と二卵性双生児である噂が流れるなど、今後も研究の余地が十二分にある要注意人物といえよう。97年夏には、西田ひかると使い捨てカメラのCMで共演を果たし、一般的ブレイクも目前と思われたが「トゥナイト2」の番組中にCMをトイレタイムと匂わせる発言したことにより、番組を降板するハメになってしまった。しかし、乱の不在により“晋也監督と乱一世のいない「トゥナイト」は「トゥナイト」にあらず”、との認識が強まったのも事実である。乱一世の「トゥナイト2」早期復帰を心から願うものである。
WEB トゥナイト2/コーナー紹介
http://www.tv-asahipro.co.jp/tv/regular/tonight/corner.html


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