[の-001]
ノイズ
noise
 無調の音塊を大音量で放出しているパフォーマンス作品。あるいは発信音をはじめとする無調あるいは変調持続音を使った音響作品。物体の摩擦音や電気増幅された様々な環境音、生活音、破壊音、電波音などによる音のコラージュで、とくに耳内残響が激しい大音圧のものを指して、“ノイズ”という呼称が用いられることが多い。ノイズ・ミュージックと呼称する人々もいるが、あえて“ミュージック”と一般に認知認識されている技芸構造そのものを否定するために作られる作品、行われる行為も少なくないため単に“ノイズ”と呼ぶべきであるという人々も少なくない。発表の場が主に音楽を主体に運営される店舗である場合が多いために、ノイズも音楽の一種として括られるのが一般的であるが、音響実験パフォーマンスとして展開される“ノイズ”は、美術系の場で公開されることによって芸術の一種に加えられることも少なくない。
 主に即興によってノイズは放出されるが、出し続けるうちに構築美が自然発生することもしばしばである。しかし単に即興演奏によってデタラメに音を出せばそれで事たれりとする者のノイズはしばしば聴き手に退屈をもたらす。優れたノイズは聴き手と演奏家の間に高揚をともなった緊張関係を作り出す。逆にこれ見よがしに高圧的態度でノイズを神聖化したかの如く発信している輩は窮屈な不快感をもたらす。ノイズは一つの要素として多様な引用や援用が、大衆芸能界では行われている。テクノも一つの音響打楽ノイズとして純ノイズと通ずる部分は少なくない。
WEB 


[の-002]

のう
 頭蓋骨の内部に浮いている器官。ヒトの主体意識の存在場所であり、すなわち現代ではヒトそのものとさえ想定されているもの。核磁気共鳴分析装置、MRIの開発によって、生きているの機能研究が急激に進み、その華々しい成果が「ブーム」とさえいえる状況を招いた。一般社会でのブームは、89年に解剖学者である養老孟司の『唯脳論』が出版されたことをきっかけとする。それは、世界をの産物とみることを前提として、の機能形式を探る書であったが、そのなかで養老は、すべてがの産物であるなかで唯一の外部、即ち「自然」は、死体である、と説いた。養老の弟子である布施英利はこの論を承けて、死体写真集や死体論を次々と出版し、90年代半ばの「死体ブーム」を代表する人物となる。すべてが「化」し閉塞した社会にあって、外部を求める欲求の高まりが「死体ブーム」を招いたことは確かとしても、現実に外部としてあるのは死体としての自らの身体であって、一般的な死体はむしろもっとも観念的な存在である。そのブームは、外部めいたものを愛好することで内部の安定をはかるという猟奇の欲望にしたがった、もっとも脳的なエピソードといえるだろう。現在、日本の科学界は米国の研究発展の後追いを急ぎ、「の時代」をキャッチフレーズとして、20年間にわたる脳科学研究に総予算2兆円を予定して取り組みつつある。
WEB Hardware.html
http://www.bekkoame.or.jp/~saoki/Consciousness/
WEB Functional-Mapping
http://www.nmt.co.jp/~shichijo/FM/FM1.html


[の-003]
N.F(ノー・ファミリーネーム)系歌手
のーふぁみりーねーむけいかしゅ
 UA、CHARAの大ブレイク以降、続々と登場した名字なし、しかもアルファベットで名前だけを名乗る女性シンガーソングライター。彼女たち“N.F”(ノー・ファミリーネーム)系歌手には、先に挙げた二人の他、Akiko、Akko(マイ・リトル・ラヴァー)、Keiko(globe)、Aco、Cocco、Hitomiなどが活躍している。先輩格はYou、Nokkoあたりだが、“N.F女王”は、なんといってもSeikoで異存はないだろう。「奔放」「ワイルド」「自然体なのにコケティッシュでキュート」、なんてところが彼女たちに決まって付けられる形容詞だが、「若手俳優(もしくは若手ミュージシャン)と早々と結婚〜出産休業〜復帰」というパターンまで同じなのはいったいどういうことだろうか。そのパターンの中でまるで作品のように生まれた子供たちが、彼女たちによっていかに奔放に育てられるかと想像すると、彼らの幸せを願わずにいられない。とりあえず一度、彼女たちN.F系ボーカリストを一カ所に集めて、先頃ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼーション、コモエスタ八重樫のプロデュースでミニアルバムを発表し、クラブ系に殴り込みをかけた和田“Akko”アキ子姉さんに喝を入れてもらってはどうだろうか?
WEB USIC ARCHIVES / Chara
http://www.sme.co.jp/Music/Arch/ES/Chara/


[の-004]
野村佐紀子(1967年生)
のむら・さきこ
 一貫して裸体をテーマに作品を発表している写真家。被写体はすべて若い男女の裸体で、それぞれが住む部屋で個別に撮影されている。といっても男性誌などにありがちな、モデルの自室で撮影される覗き見趣味的なものではなく、芸術的な「ヌード」でも、また、ナチュラルであることを志向する裸でもない。ただ裸である人間が、ありのままに自我の揺らぎを晒してしまう場所、そこに漂う特別な“気配”のようなものを写し撮ったもの、それが野村の撮る裸体ではないだろうか。人間の無垢な姿をポートレートにしていることや、大胆なスナップショットを多様する特徴などから「ニューエイジ・フォトグラファー」の一人とも称される。91年より荒木経惟の事務所AaTRooMに勤務。個展に「針のない時計」(93年、エッグ・ギャラリー)、「けはい」+「きおく」(97年、ナディッフ)など。写真集に、『裸の部屋』(AaTRooM)『裸の時間』(平凡社)。
WEB 大野佐紀子
http://www.hama-net.or.jp/tamavivant/page.ohno.htm
WEB 野村佐紀子 NOMURA Sakiko
http://www.hama-net.or.jp/tamavivant/page.nomura.htm


[の-005]
野茂英雄(1968年生)
のも・ひでお
 メジャーリーグにジャパニーズ・インベンジョンを引き起こしたロサンゼルス・ドジャースの日本人投手。大阪府出身。89年のドラフト会議で8球団が1位指名し、抽選の結果新日鉄堺から近鉄に入団。翌90年には新人王、MVPを獲得。90〜94年まで4年連続の最多勝、最奪三振王に輝く。95年、近鉄を退団しロサンゼルス・ドジャーズに入団。当初日本では野茂のメジャーリーグ移籍には批判的な意見も多く、ほとんどの者が成功を予想していなかった。ところが始まってみれば、メジャーリーグの話題を独占するほどの活躍を果たしたのである。活躍に比例するように野茂グッズは飛ぶように売れ、「ノモマニア」まで出現するほどの社会現象にまでになった。95年のオールスターでは日本人として初出場、しかもナ・リーグの先発投手(スターター)という名誉ある大役をつとめる。シーズンが終わってみれば13勝6敗の好成績を記録してナ・リーグ西地区の優勝に貢献し、新人王を獲得した。
 野茂がこれほど話題になった理由は、彼の実力はもちろんだが、社会的背景にも原因がある。野茂が入団する前年の94年は前代未聞のストライキで途中でシーズンが終了してしまった。ファンを無視したこの出来事に多くの批判が上がり、ファン離れが相次いだ。95年シーズンが開幕したとき、関係者はファンの不信感を一掃するためには、新たなヒーローの出現が必要と考えていた。またファンもそれを待ち望んでいた。そんな状況下の中、見たこともない特異なフォームから、米国では幻の球とされていたフォークボールを投げ、次々と三振を取る日本人の存在は、見事にマッチした。またチームがロサンゼルスという日系人が多い場所柄が野茂ブームに拍車をかけた。
 96年さらに野茂の奇蹟の快投は続く。9月17日、高地にあることから打球が飛び『打者天国』と言われるクアーズ・フィールドでノーヒットノーランを達成したのだ。ちなみに球場が完成してからこの日まで完封試合は2試合しかない。いかにこの記録が驚異的であるかを物語っている。96年は16勝11敗の成績を記録。97年も3年連続13勝以上を記録。またデビューから3年連続で200奪三振を達成した。これは現ヤンキースのドワイ・グッデン以来、11年ぶり史上3人目の快挙である。
 野茂の活躍によって、メジャーリーグのスカウトが日本に異常な興味を持ち始めたのは言うまでもない。日本のエースは米国のエースとなった。
WEB Tornado Boy
http://www.st.rim.or.jp/~k_ono/tornado/
WEB NOMO on the Web
http://www.softbank.co.jp/internetguide/nomo/


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